解   説

3. 竹の曲げ方について


 竹は表面の固い部分を外側にして内側に曲げることは、加熱などすれば割合容易にできますが、逆の方向に曲げることはかなり難しいものです。
 下の作品は、逆方向に曲げた例ですが、これほどまでに、しかも乾燥したままで曲げたものは、あまりお目にかからないと思います。 
 
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櫂先部分
切止部分

 茶杓を例に、竹の曲げ方をご説明します。

 資料をいろいろ調べましたが、一般的に茶杓を作る手順は、下記の様です。

1. 竹を曲げやすくするために、水に数日浸したのち、数時間前後煮沸して、十分水を含ませておく。

2. 曲げやすくするために曲げる部分の裏皮を削って、薄くしておく。

3. 煮沸した竹をローソクであぶりながら曲げて、最後は水につけて冷やして曲げを整える。

4. 小刀で削り、最後はヤスリとサンド・ペーパーで仕上げる。


 父の茶杓の作り方の特徴は下記の通りで、、乾いたままの煤竹をそのまま用いて、角や表面の仕上げにはヤスリやサンド・ペーパーなどは使わずに、小刀による削りだけで仕上げ、鋸目の場合と同じようにわざと削り跡を残しています。  
 言ってみれば、利休の時代と同じ作り方とも言えるでしょう。 自然の中で、その場の手元にある道具(武将であれば脇差し)と材料だけで作る気持ちで...。

1. 煤竹をそのまま使用する。

2. 曲げる部分も含めて、裏皮を削らない。

3. 水などに漬けないで、ローソクの火にあぶるだけで曲げる。

4. 小刀だけで削り、ヤスリ、サンドペーパーなどを使わないで、最後は布で磨いて仕上げとして、削り跡を残す。

5. 重心を中節に置く。


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茶 杓    銘 「悠 久」
孫、悠久(はるひさ)誕生を記念しての制作 1987年

での展示説明もご覧になってください。

参考資料:

1. 「日本の美術 茶道具」、藤岡了一編、至文堂、昭和43年
2. 「茶道具手作り入門」、淡交社、昭和57年 
3. 「茶杓百選」、西山松之助、淡交社、1991年 
4. 「茶杓をつくる」、西山松之助、読売新聞社、1992年 
5. 茶杓を作る
6. 酔夢亭茶杓の作り方

館長 Postmaster@i-OfficeK.com